投資と資本の相殺消去
100%子会社の場合はどうだろう?
子会社の個別貸借対照表に計上された資産負債の全ては,投資と資本の相殺消去に先だって,支配獲得日の時価で評価しなおす。
のれんはどのように処理されるだろう?
- 考え方①:超過収益力は競争を通じて徐々に失われるから必ず償却を要する
- 考え方②:超過収益力を維持する事例も存在するから,一律に償却を強制するのではなく,減損が生じたのれんについてのみ評価減することで足りる。
非支配株主はどのように扱われるの?
連結に先立って非支配株主が存在する子会社の資産負債を時価評価する方法が問題になるね。
全面時価評価法:子会社の資産負債のすべてを支配獲得時の時価で評価する
考え方:子会社が企業集団に含まれるようになった事実を重視し,その時点での子会社の資産負債の全部を時価評価の対象とする。
部分時価評価法:子会社の資産負債のうち親会社の持分に相当する部分についてのみ時価評価する
資本連結の手続
債務超過の子会社の連結はどうなるの?
資本金800、利益剰余金▲200の子会社の株式を480円で取得(80%)。支配獲得後の当期純損失が1000の事例
資本と投資の相殺消去
資本金800 | 利益剰余金▲200 |
子会社株式480 | |
非支配株主持分120 |
当期純損失の按分
本来、非支配株主に▲200のところ、120を越えて負担させられない。
非支配株主持分120 | 非支配株主持分に帰属する当期純利益120 |
その後、純利益が発生した場合、親会社が負担した分を先に親会社に帰属させる。
80を余計に負担したのであれば、本来の按分から80を加算して親会社に帰属させる。
段階的取得による支配はどう処理するの?
01年度に10%分を1400で取得、02年度に70%分を10,500で段階的に取得したケース
一括法:親会社が子会社株式を段階的に取得した事実とは無関係に、議決権の所有が50%に達したことにより、支配が獲得された日を基準として相殺消去を行う方法
経済的一体説では、親会社の持株比率の経緯よりも、経済的単一体が成立した瞬間こそが重要であるから、その時点で初めて消去を行う一括法が適している。
段階法:子会社株式の取得日ごとに、その日における子会社の資本のうちの親会社の持分を算定し、これをその株式の取得原価とを相殺消去する方法
段階法は、親会社が徐々に持分比率を増加させてきた過程を計算に忠実に反映させる点で、親会社説と整合する。
①先行取得していた子会社株式の時価評価差額の損益計上
段階差益を求めることになる。
子会社株式 100 | 有価証券評価益 100 |
②子会社の資産の時価評価
01年度から土地の価値が800増加。税率があれば、DTLを計上する。
土地 800 | 評価差額 800 |
③投資の相殺消去
一括で80%を取得したとして考える。
資本金 10,000 | 子会社株式 12,000 |
評価差額 800 | 非支配株主持分 2960 |
利益剰余金 4000 | |
のれん 160 |
(10,000+800+4,000=14,800)×0.8=11,840
(1,400+10,500=12,000)-11,840=160
子会社株式の売却はどういう処理になるのかな?
1 親子関係が解消する場合と
2 親子関係が継続する場合の2つの場合が考えられる。
親子関係が継続する場合,経済的単一体説では,株式売却を会社と株主(非支配株主)との間で行われた資本取引として,親会社持分の減少分と売却額との間の差額を資本剰余金とする。
非支配株主持分が上昇した分だけ,これを増額する。
子会社の増資の処理はどうなるの?
持株比率が変動するかどうかで場合分け。